人体は100円のカッターで壊せるけれど、100円では到底元に戻せない。
なんて話を聞いたことはありますか?
「バカの壁」の著者であり、解剖学者、東京大学名誉教授の養老孟司さんの言葉です。
人の身体を知り尽くしているからこその言葉ですよね。
人類は人体はもちろん、大腸菌のひとつも作り出せないそうです。
それくらい、複雑で、奇跡ともいえる人体を無駄にしてはいけない。
私たちは奇跡と共に生きていると自覚できたら、自分の身体に対する認識も変わりますね。
養老先生が言っていました。
「今の若い人は死人が家にいたこともないし、葬式を家で取り仕切ったこともない、お産だって病院。」
人体の生(はじまり)と死(おわり)を間近で見ていないから、人体の複雑さも素晴らしさも、もろさもわかっていない。だから、人の身体を傷付けることや、命を奪うことに抵抗がないんだと。
確かにそういう一面はあるかもしれません。
私は両親が田舎に住んでいたので、祖母や祖父を見送った時は、いわゆる昔のやり方にかなり近かったと思います。
自宅で息を引き取り、そのまま火葬される日まで家で見守り、その地域の習わしで納骨の日に地域の人も総出で村中を練り歩いたり。
「死」をとても身近に感じました。
でも両親の時は、二人とも病院で息を引き取り、瞬く間に葬儀屋さんが登場して、遺体も病院からそのまま葬儀場の安置室へ連れていってもらいました。
両親の亡骸を、娘たちに見せていいものかと思ってしまいましたが、今思えば、もっとしっかりと見せるべきだったのかもしれません。
「死」を遠ざけてしまうと、「死」がわからなくなって、わからないから怖くなる。
なるほど。
今日はちょっと大きくて重い話でしたね。
でも大事なことかな。
さぁ、今日も楽しもう!!